くちづけ

f:id:Ave-Materia91311:20151031034621j:plain

マコちゃんに兄弟がいたら、また何か違ったのかな。うーやんに妹の智ちゃんがいるみたいに。
片親で知的障害のある娘がいて、違うのはうちは3人兄弟ってとこぐらい。それでも、自家中毒のような、世界から見放されたよな孤立感から「みんなで死んじゃおっか」のことばは常に誰かが胸に持っていた感じなので、いっぽんの苦しみを思うとほんとうに他人事ではなく、映画館の椅子の上で涙にまみれてのたうちまわった。

この結末を見て、行政に頼るなりもっとまわりの人にしがみつくなり、他の道もあったんじゃないかと思う人もいると思うんだけど、この映画が伝えたかったのはこういうことが今、この世界でたくさん起きているというその事実と当事者が助けを求めに行くまでにとんでもないこころの距離、こどもを愛しているからこそ、将来を案じているからこその強い葛藤があってたどり着けない人がいる。そのことだったんじゃないかな、と思う。
まずは知って、そして良かったら考えてみてね、と。

そしてとにかくマコちゃんを演じた貫地谷しほりさん。ほんとにすごいです。
目の動きからあのモジモジしたかわいらしい動作、ずっとこどものまんまで、ピュアだからこそパニックに陥ってしまった時のあの感情が爆発しまくっている感じ。
妹みたい、って思ったしその友だちであるいろーんな娘の顔が浮かびました。

劇中ではるかの友だちが言うように、よく知らない知的障害者の人を見てキモいって思うのも当たり前のことだし、映画を観ていてマコちゃんのこと、少しでもかわいいな、何だかこの娘、いとおしいなって思う人がいたら、それも本当だと思います。彼女の演技にはそれくらい、私たちが見ていてかわいいな、守ってあげたいな、と思う ′彼女たち′ が集約されていました。
男の子たちはまぁ...多分、外から観てる限りあんなもん笑

この映画を観終わってかなしくてどうしようもない気持ちになったら、そして今まさにいっぽんみたいな苦しみを抱えている人がいたら、同じく知的障害の息子をもつシングルファーザーをジェット・リーが演じた「海洋天堂」をおすすめしたいです。
こんな形でこどもへの愛を貫いた親子もいるし、あんな形でこどもへの想いをあきらめなかった親子もいる。私の中ではもう既に、双子のような存在の2本です。

( ′障がい′ という表記もわざとらしくて嫌いだし、′ハンデ′ というのも軽い感じがして違うと思ったのでこどもの頃から使っている表記を使いました)