おみおくりの作法

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ネロとパトラッシュを見送ったたくさんの涙には、ざっくりわけて2種類あると思っている。
「濡れ衣を着せられた上に死んでしまってかわいそうに。ただただ哀れだ。」
「最後にずっと見たかった絵が見られて、辛いことからももう解放されて、良かったね。」
でも当のふたりの気持ちは永遠にわからない。
天使に囲まれたふたりは微笑んではいたけれど。

この映画の原題は「STILL LIFE」。
その名のとおり、主人公ジョン・メイのただただ静かな生活をみつめる時間。
たいくつだと思いました。
なんでこんなん観てるんだろう...とか途中なんども思いました。
そして訪れるラストシーンには そのすべてに対するアンサー、そしてネロとパトラッシュまでひきずり出して考え込んでしまうほどの大きな問いかけが。

ここまで貫いた静けさは、あなたのその目からこぼれるものの意味を問いかけるために必要だったの。
そう、映画に語りかけられているような気がした。
もう観てから2週間ほど経つけど、今でもその意味を、そして彼のことを考えつづけている。
未だにこたえの出ない、堂々巡りを繰り返しながら。