円卓 こっこ、ひと夏のイマジン

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私この映画、だいすき。
こっこが宙に浮かぶ初めて聞いた言葉を鉛筆でしゅばっ!と刺すシーンとか、こっこの友人ぽっさんが寿老人への愛(彼のランドセルには「寿」の文字が。パンク!)とこっこのじいちゃんへの「かっこいい」と団地に潜んでいただろう鹿の気配がないまぜになった夢を見るシーンとかちょっとシュールな映像表現がユニークでたのしかった。

こっこが鼠人間やともだちがノートに書いた言葉に衝撃を受けてぐるぐるもやもやして弱っていってしまうシーン、特に女の子の時代を経てきた人はようわかるんやないかなぁ。
性的なことや大人だけが持つ悪意や受け止めきれない人生ってやつのこと。理解ができないから想像して一生懸命考えるんやけど、まだ知らない世界のことだし受け止める器もできあがってないからブラックホールを見てしまったみたいな気持ちになってひたすら怖くて。
変質者なんてその最もたるもので、しかもその変質者・鼠人間を演じてる森山開次さん、大人が見ても最高にきもちわるい!

「当たり前」に真っ向からケンカを売り、祖父から教えられた「イマジン」の力でそれらを理解しようとするこっこに吃音と豊かなイマジンを持つぽっさん、在日やボートピープル不登校などの背景を持ちつつそれらと自然に向き合ってる子供たちが皆、とても愛おしかった。
あと、意外にすごく良かったのがこっこたちの担任役、関ジャニの丸山さん。割とデフォルメされたキャラクターたちの中、とても自然な演技でこんな先生おりそう。おったらええなぁ~って思った。

こっこの家族もにぎやかでおもろい面々(一人三役を演じる三つ子のお姉ちゃんにはビビった)やったけどぽっさんも惚れるおじいちゃんの言葉には特にじーん...。
「自分の言葉には責任を持たないかん。」
形だけは大人になっても、まだまだ全然できてないなぁ、それ。と、反省することしきり。
折りにふれて、何度も観返したいいとしい一本。