駆込み女と駆出し男

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大泉洋さんは不思議な人だ。
演じる役によって、自分の中でこんなにも好き/嫌いの印象がはっきりと変わる人もいないかもしれない。「まれ」のお父さんはほんとに嫌だけれど(すんません)、これはほんとうに良い大泉洋です!←誰

時代劇って日本人の美意識を強調した地味なものかアクションに寄った派手なもののどちらかってイメージだったけど、これは初めて見るタイプの広くて、とても風通しの良い時代劇だった。
その時代独特の言い回しや言葉を聞き取るのが少し難しかったけれど、まるで落語を聞いてるようなテンポのいいやりとりや満島さん演じるお吟の威勢のいいべらんめえ口調は聞いててとても心地よかった。

あだとか粋っていうどういう風にふるまい、人間として恥ずかしくないようにどうかっこよく生きていくか。そういう概念が当たり前に大事にされている世界。
大泉さん演じる信次郎が夫に虐げられ、自分を殺して生きてきただろうじょごに「こういう時は"素敵"って言うんだよ」と教えた時、終始こわばっていた彼女の顔がぱぁっと明るくなったのがとても印象的で。
戸田さんは低い声でツンツンしている(?)イメージが強かったけど、すっぴんに近いメイクで人間として、女としての尊厳を徐々に取り戻していくじょごをまっすぐに演じていて、とっても素敵で。

演技の達者な人だらけで演技合戦もすごい見応えだったんだけど、中でもおゆきを演じた神野三鈴さんのインパクトがすごすぎた!
あの、困ったような表情と甘ったるい声だけで登場した側から「ヤバい!この人ヤバい人だじょご気をつけて!」と私の妖怪アンテナびーん笑
舞台だけでなく、スクリーンでももっともっと観てみたいなぁ、神野さん。

今週で上映終了と聞いて、慌てて駆け込んでみて良かった。結局はそれ、早とちりだったのだけれど。