非・バランス

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キクちゃんみたいなともだちが、私にもいたらなぁ。
主人公・チアキと近い年頃の時に観て、何度も観返してはそんな風にこころの中でつぶやいてました。
小学校でいじめに遇い、中学校では“クールに生きてく。”そう決めてひとりフラフラしていたチアキの前に現れたのが“みどりのおばさん”ことオカマのキクちゃん。
何かとチアキに構っては彼女の頑ななこころをほどいていくキクちゃんを全く無名の頃の小日向文世さんが演じてて、それがとても魅力的なんです。
若くもきれいでもないオカマで、借金を抱えてて、その原因である元カレにも裏切られた上に罵倒されて。そんなよれよれのくたびれたキクちゃんがお店で笑顔で歌うあいのうたは人間の悲哀とやさしさに満ちていて。そのうた聴きたさに何度VHSを再生したことか。
そんな彼女(彼?)や新しくできたともだちとふれあううちにほんとうの強さを身につけていったチアキが自分をいじめていたともだちと対決し、もみ合いになりながら叫んだ言葉がとても痛かった。その言葉をずっと胸に秘めていたなんて、きっと棘がずっとチクチク刺さってるみたいに、苦しかっただろうな。
いじめを乗り越えるには、その根本となることと対決するかもっと大切なものをみつけるかして過去にするしかないのかも。
こころの傷は一生消えないもの。でも、それを薄めてくれる誰かには出会えるかも。そんな希望がふわりとやさしい、とても大切な一本です。