エール!

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ポスターや予告編のイメージからさわやか感動ものかと思いきや下ネタたつぷりでしかもそれが妙にからっとして明るくて、面食らった。
先生!その選曲でほんとにいいんですか!とか、隣の部屋でそんなことしてるのにそんなクールな対応なんですね!とか、あと全般的にお母さんのキャラがトンデモ!と、突っ込みどころもたつぷり。
家族のキャラクターが強烈すぎて、途中まではなんだか主人公の女の子がふびんだったけども夜の牧場でふたりきり、喉に手を当てて唄を聴くシーンでお父さんの娘への愛を深く感じて。じーんとしちゃった。
そこからはもう一気におう!がんばれ!がんばれ!と一家にまじった気分で応援モード笑
気楽に観られてクスッと笑えて、後味さわやかなコメディでした。
クライマックスで彼女が唄ってたあの曲が今も頭から離れないなぁ。うん。いい歌だった。

女神は二度微笑む

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インドの(踊らない)サスペンス映画「女神は二度微笑む」。
消えた夫の謎を追う妊婦と刑事のでこぼこコンビの物語かとのんきに観てたら裏切る裏切る何度も裏切ってきよる!
襲いかかってくる死の波に飲まれまいと必死で闘う女性の物語だった。
各々のキャラがしっかりとたっていて、特に薄毛のカツラを役者さんが装着していると思われるインパクト抜群の殺し屋のボブ、頼りなげに見えてしっかり主人公・ヴィディヤを守る刑事のラナがお気に入り。
ヴィディヤとラナの友達以上恋愛未満な雰囲気は少女まんが愛好家にはたまらないものがありました。最初はパッとしないラナがだんだんかっこよく見えてくるのです。
と、そんな関係性もラストシーンを見届けてから二度目の鑑賞にのぞむとまったく違う視点から観られてしまうのがこの映画の面白いところ。
二度目は特にせつなさが増します。おためしあれ。

Mommy

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どこの国でも母のこどもに対する愛っておなじなのね。
ひとことで愛っていっちゃうととても陳腐で嘘くさいけどそれは愛おしさもそれと同等の憎しみもまじったどろりとしたもの。
そのどろりとしたものを愛というまぶしいものに消化させてしまうのは彼女たちの決して子供から逃げないその決意にあると思う。
この映画のお母さんも最初はおいおい、子供よりクレイジーじゃないかって感じで好かんかったけども彼女の“性”ともいえる母という運命からの逃げなさ、どんなにみっともない姿を見せても希望をつかもうとするその姿から徐々に、目を離せなくなった。
だって私も知っているから。私にもいるから。そんな母が。
公開時から話題になっていた四角形の画面はなんだかインスタグラムみたいで窮屈だなって思っていたけど、状況が好転すると⬅ウィーン➡と横に広がっていく効果がなんだか愉快だった笑
確かに、何やってもうまくいかないときって上も下も右も左もないぴたっとした箱に押し込められているみたいに窮屈だものね。
母と子、ふたりっきりの狭い世界にカイラという新しい風(希望ともいえる)が入ってきて、そんな世界にwonderwallは鳴り響き、少年は広い空に向かって手を広げる。
まるで何かの発明のような美しいシーンだった。
あのふたりにしかわからない世界があって、誰が入ってきてそして去っていこうがあのラストシーンの後もふたりはぶつかりあいながら生きてくんだろうな。

フジファブリック HALL TOUR 2015 Hello!BOYS&GIRLS @日本特集陶業フォレストホール

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めっちゃくちゃ良かったぁ~~~っ(叫)
「Green Bird」でドラマチックに始まって、ガンガン踊れるキラーチューン連発からの「若者のすべて」「ECHO」の流れはずっこい...泣
最近の曲でいちばん好きな「robologue」満を持して登場、そこからコードさばきも華麗なハンドマイク王子も登場で“「桜の季節」でデビューしてこんなんなる思わんかった”発言からの“でも俺はギタリストなんだぜ~”発言でギター弾きまくりからそっと「赤黄色の金木犀」投入。泣くやん。
「夜明け前」で全乙女をうっとりさせて、アンコールで全Boys&Girlsを笑顔にして去っていった。
かわいいとたのしいしか思ってない!!!
歌の中で今日も志村くんに会えた。
ありがとう。
総くんのあの素敵なコート、もう少し着ていて欲しかったな。
「暑いぜ~脱いじゃうぜ~」って満面の笑みで脱いでるの可愛かったけれど。
今日はいつも以上に声がどこまでもぐんぐん伸びていく感じで聴いててすごく気持ち良かった~。
特にハンドマイク総一郎のやんちゃさと歌の安定感何なのよ~。

非・バランス

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キクちゃんみたいなともだちが、私にもいたらなぁ。
主人公・チアキと近い年頃の時に観て、何度も観返してはそんな風にこころの中でつぶやいてました。
小学校でいじめに遇い、中学校では“クールに生きてく。”そう決めてひとりフラフラしていたチアキの前に現れたのが“みどりのおばさん”ことオカマのキクちゃん。
何かとチアキに構っては彼女の頑ななこころをほどいていくキクちゃんを全く無名の頃の小日向文世さんが演じてて、それがとても魅力的なんです。
若くもきれいでもないオカマで、借金を抱えてて、その原因である元カレにも裏切られた上に罵倒されて。そんなよれよれのくたびれたキクちゃんがお店で笑顔で歌うあいのうたは人間の悲哀とやさしさに満ちていて。そのうた聴きたさに何度VHSを再生したことか。
そんな彼女(彼?)や新しくできたともだちとふれあううちにほんとうの強さを身につけていったチアキが自分をいじめていたともだちと対決し、もみ合いになりながら叫んだ言葉がとても痛かった。その言葉をずっと胸に秘めていたなんて、きっと棘がずっとチクチク刺さってるみたいに、苦しかっただろうな。
いじめを乗り越えるには、その根本となることと対決するかもっと大切なものをみつけるかして過去にするしかないのかも。
こころの傷は一生消えないもの。でも、それを薄めてくれる誰かには出会えるかも。そんな希望がふわりとやさしい、とても大切な一本です。

X―MEN ファーストジェネレーション

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おもっきりジェームズ・マカヴォイ目当てで観ました。
X―MENシリーズは一作目をTVで観て挫折したきり。なのでストーリーの軸となるプロフェッサーXとマグニートーの関係、登場するキャラクターたちをWikipediaで調べた上で観賞しました。
そんなX―MEN初心者の私でも主人公ふたりの磁石のよに時に引き合い、時に弾けあう関係性にぐいぐい引き込まれるようにたのしく観ることができました。
マシュー・ヴォーン監督の最近作「キングスマン」でも主人公がスパイとなるため訓練を受けるシーンがありましたが、ふたりの下に集ったミュータントたちが自分たちの能力を研ぎ澄ますために訓練するシーンには特にワクワクしました。
能力があってもコントロールできなければ味方にも怪我をさせてしまうし、個が強くてバラバラな彼らが徐々に団結していく姿は野球部や陸上部の合宿的で、その人間くさい姿に思わずふふっ。
おもっきりマカヴォイ目当ての私でしたが、知的な佇まいが素敵だった彼と同じくらいカリスマ性溢れるマグニートー役のマイケル・ファスベンダーがそらもうかっこよくて、後半はミステリアスな彼の魅力に夢中でした笑
セクシーな中にミュータントである孤独を秘めたミスティーク役のジェニファーローレンス、同じく自分の能力に苦悩するビースト役のニコラス・ホルトなど、主要キャラクターが皆とても魅力的で。
そうなると過去作が気になってくるわけで!とりあえずは彼らが再登場する“フューチャー&パスト”も観てみようと思います。

ミルコのひかり

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不慮の事故で視力を失ったミルコと、彼が入学した盲学校で出会う仲間たちとの物語。
と書くとお涙ちょうだいの物語やお決まりの友情ものっぽく聞こえますがどちらでもない、こどもたちの演技に見えない自然な演技が葉っぱの上で揺れる朝露のよにきらきらと輝くとてもみずみずしい作品。
メイキングを観ていると、主人公ミルコを覗いては実際に盲学校に通うこどもたちがミルコの仲間役を演じているんですね。その彼らがミルコ役の男の子に「こういう時はこうやってやるんだよ!」って仕草や動きについてたのしそうに教えているのがとっても可愛くて。
本編も演技してるというよりはそんな風にみんなで仲良くなってきゃっきゃやってるのが焼きついちゃった!って感じでとても微笑ましいんですよね。
ミルコの才能をみんなでたのしんで、もーっと面白いことにしちゃおう!というイタリアっぽい陽なこどもたちのそのパワーににこにこはらはらしながら観ている間に彼らのそのパワーが作り上げた美しい結晶のかたちにじーん...。
「友だちのうちはどこ?」「運動靴と赤い金魚」「スタンリーのお弁当箱」などで素朴なこどもたちの頑張りに目を細めちゃった方には特におすすめしたい。
ひととどこか違うと“かわいそう”そう言われがちだけど、違うんだよ。素敵なタイトルとともに自分らしく生きてくための強い強い“ひかり”それを感じさせてくれる作品です。