バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡

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賛否両論激しい映画だけど、今まで観たことない映画を観てるワクワク感がすごくて私は面白かった。隣で観てる母はぽかーん...でしたが。
どちらにもとれるラストシーン、私は彼女の表情から彼は勝ったのだと思った。同時に“こんなことのために、馬鹿だろ?”そんな監督のつぶやきも同時に聞こえた気がした。
終始アメコミヒーロー映画やSNS、そのひとふでで作品への世間の評価も決めてしまう評論家たち、そしてそれにふりまわされる役者たちへの皮肉に満ちていて、過去のイニャリトゥ監督作品よりもきっついユーモアも効いていて。
特にエドワード・ノートンの出てくるシーンでは何度か声をあげて笑ってしまいました。主演のマイケル・キートンもそうだけれど、「ハルク」を一作で降板した彼がこの作品に出てるのがもうそれ事態がユーモアのかたまりのような気もしてきちゃって笑
それにしても今年はドラムの当たり年ですね、と打った時点でおまえは何を言っているんだ。と自分に突っ込んでしまいましたが、「セッション」の血のドラム、「マッドマックス」の俺たちドラム叩き隊、そしてこの作品の主人公の心臓の鳴り具合を表すような現れては消えるドラマーの鳴らすそのドラムの音には、とても高揚感を覚えました。
好き嫌いは別れるとは思いますが、おもいきり想像力の翼を広げて飛び込んでみると、新しい映画体験をすることができる作品だと思います。
与えられたものだけをただ受けとる、そんな風にこころを閉じずに想像力をフルにして。たのしんでみてください。

マッドマックス 怒りのデスロード

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マッドマックス 怒りのデスロード」、やっと観られました!

'ずっとクライマックス'の触れ込みどおり手に汗握るシーンの継続(連続ではない、常に、だから)ですんごい身体に力入りまくって疲れたけど面白かった...!!!
人間が輸血袋になっている(しかも主人公が)という序盤から度胆抜かれましてそれ以外の設定もなんもかんもがクレイジーだな...って感じで観てたんですが、ニコラス・ホルト演じるニュークスの変化にあれあれ、って。

主人公をあんな目にあわせるただ恐ろしい人、だったのがこの人はたまたま生まれたこの世界の秩序の中で“栄光の死”ただそれをひたすらに信じる人だったんだな、と気付くとその残酷と紙一重のあまりのピュアさにきゅん、ときてしまいました。

ウォーボーイズ、ギター担当の人とか太鼓叩き隊(勝手に名付けました)とか裏切りものを追ってるわりに道中がやけに楽しそうで私だったらなんの楽器で参加できるかな~タンバリンは要らないよね~とかその前に女に産まれて母乳吸いとられるのだけは勘弁だな~とか、観てからもずーっと頭があの世界にいて、なかなか抜け出せません。

もう今から続編がたのしみです。

はじまりのうた

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一度目は'あの「ONECE」の監督さんの新作だし!'って感じで期待する気持ちが富士山より高すぎたのか、二度目の観賞ほうがすぅっとこころに響いてきた。
特に、音楽の在り方について頑なだった主人公・グレタのこころがゆっくりとほどけていくその過程、自分の唄に人々が耳をかたむける姿に静かにこぼれる涙のうつくしさにグッときた。

「BEGIN AGAIN」って原題が、見終わったあとにことさら響く。
もういちど。
地下鉄に飛び込んで死んじゃいたい気分から、もういちど。
これは、いろんなことに傷ついては足踏みばかりの私たちの背中をとん、と押してくれる物語。

唄を聴く行為は、その曲を作ったひととの対話のよう。あなたがその歌を作ったときの心情と私の今のこの心境が共鳴して、からだじゅうに響き渡る。
そんな運命をかえるうたとの出会いを描いたあの導入部からして、そんなうたをこころに持っているひとならきっと誰でも「わかる!」と呟いてしまうんじゃないかな。音楽が好きなひとには、絶対に一度は観てほしいな。
「わかる!」もいっぱいあるし「そうなんだ!」の発見もたのしい。

そして私は今、「LOST STARS」が唄えるようになりたくてしかたない。
英語も唄もすごい苦手だけど...カラオケで唄えるようになりたい!
キーラの決して声を張らない、可憐で儚い歌声がかわいすぎる。

かわいすぎるといえば 、そのファッションも。お姫さまなキーラもとても素敵だけど、古着みたいな飾り気のないワンピース姿のキーラがほんとうにかわいかった。
表情がゆたかで、それだけでこちらを魅了してしまう稀有な女優さん。「イミテーション・ゲーム」でその演技にはっとして、今ではすっかりファンです。

空から降ってくる vol.8 ~正真正銘の全国ツアー!これ以上の全国ツアーってある?ねぇー?ねぇぇぇーーー?編~ @梅田クラブクアトロ

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いよいよ37都道府県制覇!のツアーセミファイナルに行ってきましたよ。

途中でトイレ行った後はいちばんうしろの高いところから観てたけど、ダブルアンコールで波多野さんがぐにょーん!って痙攣みたいな動きでギター弾いてて面白かった。あんなに反ってる波多野さんは久々に見たし反ってる波多野さんはかっこよすぎてあぶなかった。

アルバムが出るたびに波多野さんが特に詞を伝えたい曲なのかな、って聴いてるときに感じる瞬間があって、それは歌声とともに顔面にも力が入ってらしてですね、それは今回は「空は機械仕掛け」なのかなって思いました。ストレートだってのもあるんだろうけど。情熱的なものを感じました。唄から。

「映画綺譚」、CDでは波多野さんのギターの「がーーーっ!!」に気をとられっぱなしだったけど健太さんの「どぅおーん(低)」がかなりかっこよくてですね、「がーーー‼」「どぅおーん」「がーーー‼」「どぅおーん」の応酬におかあさんどうしていいかわからなかった。いや、観てたけど。普通に。

波多野さんが鍵盤の前に座っての「JFK空港」がもう、鍛えあげられて無駄な贅肉の落ちきったアスリートみたいになっててさらに名曲度があがっていた。からの後半鬼ギター。お葬式では「JFK空港」をかけてください。御願い申し上げます。

ダイゴマン、親友の結婚式、行きたかっただろうな。
でもいい夜になったみたいだから、良かったな。
「Alice」を披露宴に使うなんて、最高じゃないか!
「まっ逆さまだけどね(ほほえみ)」(波多野)

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バクマン。

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面白かった!
執筆中の漫画がプロジェクションマッピングのようにどんどん壁に映し出されていったり、同じく、思い浮かんだアイディアがかけてる眼鏡にばばばばっと写ったり、ライバルとの戦いをおーっきなペンを刀に見立てたバトルシーンで描いていたり、視覚の演出もたのしい退屈するヒマない約2時間。
恋・友情・ライバル!な一歩間違うとスポ根になりかねない題材をその突き抜けた大根監督のセンスと先進の技術、浮遊感のあるサカナクションの音楽が洗練されたスピーディーな漫画エンタテイメントに昇華させていて、まさに圧巻でした。
かさこそ、かつかつと鳴る走るペンの音を反復させてリズムを作ってたり主題歌も含めてほんと音楽、かっこよかったな~。
原作未読なので初めて出会うキャラばっかりでしたが、個人的には新井浩文さん演じる金の亡者な平丸さんがかわいくて好きでした。あんなふわふわしたラッコの漫画描いてるのに...。
最後のスタッフロールまで漫画愛に満ちてた!すごいっ!

キングスマン

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面白かった!
この監督さんはストーリーのためなら大物俳優もぼすぼす殺すのですね。そのたびに衝撃が走って、どんどん物語に気持ちが入り込んでゆきました。
彼の不在は最初「・・・え。」って思ったのだけど、その不在のお陰でこの映画のテーマが浮かび上がってきて。いないのにすごい存在感でした。
そしてアクション!
パラソルとかの武器の使い方とか義足の女秘書とかなまらかっこよかった...いっぱい死んだ...。
あのすごいインパクトの秘書は最初男の人なのかと思ってて、気になって調べたらマドンナとかのバックで踊ってるダンサーだと知ってものすごい納得。あの人のアクション、キレッキレな上にすごく綺麗だった。
そして座ってるだけなのに迸るマイケル・ケインの色気。テーマにも「ダークナイト・ライジング」を感じる部分があったけど、彼が出ていたから尚更。
いつブルース・ウェインが出てくるのかと思いましたよ...(うそ!)
パグちゃんのおめめきらきら☆くぅーんにはきゅぅーん(о´Θ`о)となりました。あぶなかったです。

おみおくりの作法

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ネロとパトラッシュを見送ったたくさんの涙には、ざっくりわけて2種類あると思っている。
「濡れ衣を着せられた上に死んでしまってかわいそうに。ただただ哀れだ。」
「最後にずっと見たかった絵が見られて、辛いことからももう解放されて、良かったね。」
でも当のふたりの気持ちは永遠にわからない。
天使に囲まれたふたりは微笑んではいたけれど。

この映画の原題は「STILL LIFE」。
その名のとおり、主人公ジョン・メイのただただ静かな生活をみつめる時間。
たいくつだと思いました。
なんでこんなん観てるんだろう...とか途中なんども思いました。
そして訪れるラストシーンには そのすべてに対するアンサー、そしてネロとパトラッシュまでひきずり出して考え込んでしまうほどの大きな問いかけが。

ここまで貫いた静けさは、あなたのその目からこぼれるものの意味を問いかけるために必要だったの。
そう、映画に語りかけられているような気がした。
もう観てから2週間ほど経つけど、今でもその意味を、そして彼のことを考えつづけている。
未だにこたえの出ない、堂々巡りを繰り返しながら。